頭痛は多くの人が経験する、ありふれた症状の一つですが、大別すると一次性頭痛、二次性頭痛に分類されます。
一次性頭痛とは頭痛の症状自体が問題となるものの、原因となる疾患があるわけではないもの。機能性頭痛ともいわれる。片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛など。
二次性頭痛とは脳血管障害、脳外傷、脳腫瘍など脳そのものの病気、高血圧、感染症などの内科疾患に伴う頭痛など頭痛の原因となる病気が存在するもの。
頭痛の多くは、一次性頭痛で命にかかわることはないですが、強い痛みや、吐き気などのつらい症状を慢性的に繰り返す為、日常生活に支障をきたすことから適切な治療を受け、きちんと対応することが大事です。
二次性頭痛は原因の除去が頭痛の根本的治療につながりますが、脳血管障害、なかでもクモ膜下出血、脳出血、そのほか脳腫瘍、髄膜脳炎など命にかかわる疾患など生命に危険を及ぼす疾患が原因であることもあるため「危険な」頭痛といえます。また高血圧など長期的にみると動脈硬化を進め心血管疾患のリスクとなりえる疾患も頭痛の原因として隠れていることもあり、いずれも適切な治療が大切になります。
薬物乱用頭痛も頻度が多く、本来頭痛を止めるはずの薬を頻回服用する(3ヶ月を超えて1カ月に10日以上頭痛薬を使用)ために誘発されてしまう頭痛で、原因薬物の中止、予防薬の使用が大事です。当院では頭痛に関連して、神経内科専門医による、詳細な問診、神経学的診察を含む内科診察を行った上で、内科疾患を見逃さないための血液検査、必要と判断された場合はMRI検査を依頼し頭痛の診断、治療を進めていきます。
片頭痛はズキズキと脈打つような痛みで、光や音に敏感になったり、吐き気などを伴ったりします。
頭、体を動かすと症状が悪化する傾向があります。片頭痛の治療薬は頭痛の痛みを抑える急性期治療薬(いわゆる頭痛の痛み止め)と、片頭痛予防を目的にした治療薬が使われますが、頻繁に急性期治療薬(痛み止め)を使用すると薬剤使用過多による頭痛の原因となるため、頭痛予防薬の適正使用が重要です。
近年、種々の病気でその仕組みに基づいた治療が導入され、病気の原因物質の働きを抑えるモノクローナル抗体という物質を治療に応用する分子標的療法が盛んにおこなわれるようになっています。
片頭痛も例外ではなく、最近の研究でカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質が病気の仕組みに関連していることがわかり、CGRPとその関連物質を標的としたモノクローナル抗体による新しい片頭痛治療薬が相次いで開発されました。
いずれも注射製剤で、現在エムガルディ、アイモビーグ、アジョビの3種類の薬が使えるようになっています。月1回からの定期的な注射による治療となりますが、現行の片頭痛予防薬の効果が薄く、痛み止めの使用頻度が減らない方にも治療効果が期待され、片頭痛に悩まされる方には朗報となるかもしれません。
これらの薬剤の使用の目安は、3カ月以上の片頭痛日数が1ヵ月に平均4日以上である18歳以上の片頭痛の患者様で、日常生活の指導や急性期治療薬の服用を適切に行っても日常生活に支障をきたし,保険適用のある既存の片頭痛予防薬の使用を継続できない、片頭痛を有する方に使用が勧められます。
これらの薬剤は厚生労働省のガイドラインで治療可能な施設が限定されており、当院では日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医が常勤していますので治療を受けていただけます。本治療に関心をお持ちの方はご相談ください。